神戸市には、地域活動を推進するたくさんの団体があり、それぞれに活発な活動を展開されています。地域活動を支援する市からの助成金には、ふれあいのまちづくり助成、防災福祉コミュニティ育成事業、エコタウンまちづくりなど多数ありますが、各局から地域に個別に交付され、それぞれの活動目的に沿って利用されているのが現状です。 平成21年度予算では、モデル事業として、北須磨団地において、対象助成金8種類の中から地域が選択した5種類を一元化して地域活動統合助成金として交付することが提案されています。こうした一元化により、狭い範囲の使途に縛られない財源の確保ができ、地域の実情に応じた自主的で思い切った活動を推進することができるのではないかと大いに期待しておりますが、将来的には全市に展開していくべきだと考えます。その全市展開の際には、今回のモデル事業において選択の対象となった8種類の助成金だけではなく、各地域に交付している他の助成金も含めて、地域のニーズに応じて柔軟に対応し支援していくべきであると考えます。市長の今後の展開に対するご見解をお伺いいたします。 また、地域活動のさまざまな分野で中心的役割を永年果たしてきてくださった人材の高齢化が顕著であります。今後、特に若い人の参加をうながし、これまで積み上げてきたノウハウを、次世代に確実に引き継ぐことが神戸市の将来のまちづくりにとって、大変重要です。地域活動統合助成金をきっかけとして、地域での世代間交流、次世代リーダーの育成を推進していくべきであると考えます。市長のご見解をお伺いいたします。
(要望)
1)助成金ごとに担当部局があり、統合するということは局間調整が必要になる、という煩雑さがある
とは思いますが、縦割りで運営してきた助成金に、せっかく横串をさした今回の地域活動統合
助成金制度ですから、地域の立場にたった運用ができるよう今後とも積極的に取り組んでいた
だきたいと思います。北九州市のように、一括して地域に交付するのも一つの方法だと思いますので、モデル事業を展開しながらさまざまなご検討をしていただきたいと思います。
平成21年度予算では、2つの中学校区で学校支援地域本部を設置し、学校活動に対する支援人材の活用を図っていくという予算が組まれています。また、教育・地域連携センターを設置し、従来の学校単位での地域人材活用のみならず、各学校での活動に応じた人材派遣に全市的に取り組むことが打ち出されました。この教育・地域連携センターがうまく機能していくためには、熱意ある有能な人材に登録してもらうことが大前提となります。たとえば、嘱託や非常勤、ボランティアなどとしてすでに各学校で活動されている方々や、この春に退職される教職員の登録がまず必要であると考えます。 私自身も公立小学校で、ボランティアとして小学校英語活動に関わった経験がありますが、学校が真に地域に開かれた拠点となり、教職員と共に地域人材が学校活動に参加し協力していくことは、子ども達にとってもすばらしいことだと実感しています。また、その結果、学校活動がより充実したものとなるだけではなく、地域人材の学校での活動の経験が、その後の地域における様々な活動への参加、人材のネットワークの拡大にもつながっていくものであると考えます。 保護者、地域人材、OBを含めた教職員等が共に地域の中心である学校において積極的に活動に参加し、より豊かな学校活動に向けて協力するだけでなく、地域活動の更なる活性化につなげていくべく、学校地域支援本部や教育・地域連携センターでの取り組みを行っていくべきであると考えますが、地域人材の活用について、各学校を預かる教育委員会として、どのように各学校での取り組みを進めていこうとしているのか、お伺いいたします。 次に、外国人に対する日本語教育への地域人材の活用について、お伺いいたします。 平成2年の出入国管理に関する法令改正以来、日本で就労する外国人が増えていますが、昨今の経済状況を反映して雇用が不安定化し、就学はおろか生活すら守れない家庭も出てきました。今年1月30日に文部科学省が「定住外国人の子どもに対する緊急支援」を発表し、同日、内閣府からも「定住外国人支援に関する当面の対策」が打ち出されました。この中には、「緊急雇用創出事業」において「定住外国人やその子弟に対して、地域や学校等における日本語教育事業や生活支援を行う事業」が推奨事例とされている旨、地方自治体等に周知を図るとともに、都道府県教育委員会等に活用をうながすことが打ち出されています。国の方針を踏まえ、神戸市としても、このまちにともに暮らす外国人市民のための施策を推進するべきであると考えます。 神戸市では、神戸経済を支える人材として、約4万4千人の外国人が暮らしていますが、中には、日本語が全くわからない状態で来日し、日本語をほとんど身につけないまま生活を送っている家庭もあります。 現在、神戸市の学校では「子ども多文化共生サポーター」など、外国人児童生徒に対するサポートをすでに行っておりますが、こうした日本語を話すことが出来ない外国人に対し、より充実した日本語教育を提供する環境を整えていくべきではないでしょうか。日本語の学習機会を提供することは、児童生徒にとっては就学、就業につながり、就業者にとっては安心できる生活に直結することとなり、神戸市にとっても、より多種多様な人材確保につながるのではないかと考えます。 そのため、今回の予算で昼間部を設置する摩耶兵庫高校や、地域の学校の空き教室を活用して、外国人に対する日本語教育を提供することはできないものでしょうか。それに加えて、生涯学習センターや公民館などで、教員OBやボランティアなどによる日本語教室を開催するなど、国際都市神戸として外国人労働者の増加が今後も見込まれることを見据え、日本語教育を含めた先進的な受け入れ体制を今のうちから整えていくべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。
(要望)
1)移民の多いアメリカでは、アメリカに住むことになった人は全員英語を学ばなければなりませんでした。学齢の子ども達は学校でESLというクラスがあるほか、クラスではサポーターが授業理解を助けてくれましたが、大人にもほとんど無料で英語の授業が提供されていました。それは「英語のクラス」ではなく、アメリカで暮らすからには「アメリカ人」として知っていなくてはいけないことを学んでもらう、という目的での授業で、アルファベットから始まり、アメリカの歴史、文化まで教える授業内容でした。
日本でそれと同じことをすぐには提供できないでしょうが、「神戸に住む人には、みな神戸のことをよく知ってもらい、神戸を好きになってもらいたい」と考えることはできるのではないでしょうか。長く神戸で生活してもらうことはもちろんですが、母国に帰ることになっても「神戸はいいまちだった」と宣伝してもらうことは、神戸にとってプラスにこそなれ、マイナスになることはありません。
低炭素社会の実現に向け、住宅用の太陽光発電システムや家庭用燃料電池の導入に対しては、G8環境大臣会合を開催した神戸としても自然エネルギー機器購入助成制度について検討すべきであると決算特別委員会でも質疑させていただいておりましたが、国において新規購入助成制度ができたことをうけ、平成21年度予算に計上されており、大変うれしく思っております。 現在、神戸市の施設では、必要電力の約3割が太陽光発電などの自然エネルギーやクリーンセンター発電などで賄われています。今後、環境にやさしい取り組みとして自然エネルギーをさらに普及していくためには、神戸市が率先して、市の関連施設で使用する電力について、計画的に自然エネルギーなどの新エネルギーで賄っていくという目標を掲げて、より積極的に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。 また、自然エネルギーでつくった電力を購入したことを証明する「グリーン電力証書」の取得によって事業所がCO2排出削減を進めていくシステムについても、大変有効であると考えます。法人・事業所の自然エネルギー利用をさまざまな方法で促進するとともに、市民・事業者等との協働での取り組みを含め、例えば、ルミナリエの電力分はすべて「グリーン電力証書」を取得して実施し、それを市の積極的取り組みとして広報する、など神戸市独自の活用策についても検討を進めることが必要です。市長のご見解をお伺いいたします。
(要望)
1)市民がこの助成制度を積極的に利用できるよう、広報にも力を入れていただきたいと思います。
2)市の施設・建物だけではなく、公共性の高い、駅、老人介護施設、イベント施設、スポーツ施設など幅広い展開が考えられます。広く太陽光発電設備を設置し、市民にもその稼動状況についてわかりやすく報告し認知度を高めていくことが必要だと思います。
(再質問)
3)横浜では環境学習の観点も含めて、シンボル的に大きな風力発電施設を作ったそうです。ポートアイランドにも2機の風力発電施設があり、しおさい公園の照明をまかなっていると伺いました。「環境先進都市・神戸」として、たとえば先端医療センターに集積する企業や「新中央市民病院」に供給する電力は、原則、自然エネルギーとクリーンエネルギーで賄うというような大胆な方針は打ち出せないものでしょうか。
ポートアイランドは、かつて神戸市が画期的・斬新なアイディアをもってまちづくりを行い、活力あるまちとして発展させようという活気あふれるまちであったものの、残念ながら、現状は1期の住宅エリアは住民の高齢化が進み、周辺の店舗やファッションタウンは以前ほどの元気がありません。また1期の住民と2期に勤める研究者等が相互に行き来することも、日ごろほとんどありません。こうした中、大学が開校したことで若い世代が通ってきてくれるまちになり、新しい発展を期待しています。
以前、「研究開発エリア、医療エリア、教育エリアの3エリアを擁する一大クラスター形成を推進していく」という市長からのご発言がありましたが、私は、これに既存の港湾関連施設やファッションタウンなどの企業エリア、住宅エリアをも加えて一つのまちとして捉え、ポートアイランド全体を発展させるべきであると考えています。神戸市のメディカルクラスターのさらなるステージアップのためには、世界の先進例からも明らかなように、働く場所の周辺に快適な衣食住環境を整備するとともに、今ある商業施設に加え、映画館、劇場など魅力的な集客施設を整えて優秀な人材を呼び込む「まち」を作ることが必要不可欠になります。例えば、現在取り壊しが進められている施設の跡地に、研究者、医者、患者やその家族のための居住施設やスポーツ施設を建設し、周辺の住民も利用できるようにするなど、思い切った展開を民間活力の導入も含め、改めて検討してみることも必要だと考えます。
平成21年度予算において、ポートアイランドについて長期的な視点での活性化策の検討を行うことが打ち出され、今後の神戸市の活性化策の検討・実施に非常に期待を寄せています。今後、全市を挙げた取り組みが必要であると考えますが、ポートアイランドの再開発グランドデザインについて、どのように推進していかれるのか、市長のご見解をお伺いいたします。
以上、時間が限られておりますので、簡明なご答弁をお願いいたします。
(要望)
1)国際的なメディカルクラスター形成をめざす神戸市として、そのお膝元であるポートアイランドを、改めて世界に誇れるまちとして再開発し、活性化させることが、神戸経済の更なる発展のために、そして国際都市神戸の飛躍のために欠かせないものであると信じております。活性化策の検討に大いに期待しております。