平成28年決算特別委員会 保健福祉局 2016.10.17 更新
WHO神戸センターの「認知症神戸プロジェクト」
神戸で、G7保健大臣会合が開催され、様々な保健医療の課題について意見を交わし、その成果として「神戸宣言」が採択されました。
高齢化社会で増え続ける認知症の対策として、早期診断の必要性や、薬と治療法の開発加速化などが盛り込まれ、認知症への理解を深め、介護者を支援する重要性も指摘されました。薬が効かない薬剤耐性菌対策では、臨床研究のため各国に国際的ネットワークの設立を検討するよう促すことも明記されました。
震災後、継続して兵庫県と神戸市がそれぞ約20億円もの運営支援をしてきたWHO神戸センターについては、地元神戸のためにどんな役割を果たしているのかがよくわからず、5年前総務財政委員長として視察をアレンジしたこともありましたが、ようやく動き始めたように見えます。
「神戸宣言」の中には、WHO神戸センターなどが進める、認知症の予防・早期介入プログラムの構築がありますが、この「認知症神戸プロジェクト」は保健福祉局が連携・協力して進めていく事業だと伺っています。
保健福祉局とWHO神戸センターが今後、神戸から世界に発信していくために、このプロジェクトをどのように進めていくのか、展望をお伺いいたします。
障がい者就労
神戸市では市内4箇所の障害者就労推進センターがあり、就労相談や職場開拓、職場定着などの支援を行っています。「神戸市障がい者保健福祉計画2020」において平成32年度の障害者就労推進センター支援の就職者数を260人としていますが、平成27年度は未だ172人にとどまっています。
横浜市の就労支援事業の中では、各センターに民間企業出身の「協力企業開拓」をする人材を確保しており、就職先の開拓とともに、職場体験についても企業の協力が得られるよう歩き回っていると伺いました。ネットワークを作り上げていくことは優れた人材の確保が必要ですから、待遇面も大事です。
神戸市では、平成24年度より「仕事開拓員」を配置していますが、仕事開拓員の人材確保、具体的な成果について、お伺いいたします。
(再質問1)(総括質疑へ)
障害者就労推進センターにおける就労支援が万能ではないと思います。
横浜市では、障がい者就労啓発事業の中には、実際に障がい者を雇用している中小企業が先生役となって勉強をする企業交流会なども開催しているようです。神戸市で今後、障がい者就労に関連して強化していく計画、あるいは現在強化中の他の就労支援事業などがあれば、お伺いいたします。
(再質問2)(総括質疑へ)
先日、滋賀県の「介護等の場における知的障害者就労促進事業」いわゆる「滋賀モデル」を視察してきました。これは、県が知的障害のある人への介護技能等習得研修を実施し、県独自の資格を与えて介護事業等への就労のマッチングまで行う事業です。3か月間にわたって、講義が93時間に加えて、希望者には現場実習が25日150時間実施されています。毎年15名程度の研修受講者があり、脱落者はなくこれまでに200名以上が就労している実績があがっています。
知的障害のある人の働きが、介護事業所等の利用者に安心感や役割感を与え、介護事業所等の利用者が自分らしく生きがいのある生活を送るうえで大きな効果があることが分かったということでした。「サービスの受け手からサービスの担い手に」変わり、知的障害者の就労支援の充実、介護人材不足の解消とまさに一石二鳥の効果が出ているように伺いました。また、この事業のすばらしいのは、自治体が主体となり、研修からマッチングまで一環して行うところにあると思います。神戸市においてもこのような事業を展開していくことはできないのか、お伺いします。
しあわせの村のステップアップ
度々テレビでも特集に取り上げられ、安倍首相の現地視察などでも注目されている「シェア金沢」を我が会派で視察してきました。戦災孤児を寺で預かったことから始まり、知的障がい者のケアに取り組んできた経験を踏まえて、障害者、高齢者、健常者である若者がともに生活し、そこで働き、放課後には学童保育の子供たちの声が聞こえる、「ごちゃ混ぜ」が大切という信念で運営されている、居心地のよい場所だと感じました。
神戸でも様々な立場の人たちが「ごちゃ混ぜに居心地よく暮らす」取り組みができる場所としては、しあわせの村は絶好だと考えます。しあわせの村は、開村当時は神戸市が誇る先進的な福祉施設として全国からも視察が途絶えなかったと聞きます。
村内には、現在、障害者施設、医療施設、高齢者施設、温泉もある保養施設など多くの人が交わる資源がたくさんあるものの、それぞれに独立・完結していて縦割り感があり、「ごちゃ混ぜ」とは程遠く思えます。もっと施設間の交流を作れば、お互いの相乗効果をあげることができるのではないでしょうか。
しあわせの村には、学ぶ意欲にあふれた元気なシニア世代の集まる「シルバーカレッジ」もあります。卒業生の方々は、市内各地域で積極的にボランティア活動などをされています。村内でも大いに活動していただける場所があるように思えますが、現在は各施設へのボランティアなどにどの程度かかわられているのでしょうか。
しあわせの村も、これまでの経験を活かして、次世代を見据えてステップアップしていく時期だと考えますが、今後のしあわせの村内の資源を活用した福祉施策の展開などをどうのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
(再質問1)
現存の各種施設の交流に加えて、障がい者や高齢者の「自立して生活できることを目指すグループホーム」なども、自然に恵まれたこういう環境の中で設置できればいいのではないかと思います。今は車での移動が中心となった村の設計になっていますが、それ以外に「人が歩く小道」を整備することによって、この村を住みやすい場所に変換していくことができると思いますが、いかがでしょうか。
(再質問2)
グループホームを作るとなると、自立生活を助けるような生活利便施設、例えばミニコープのような店舗も必要になります。それは買い物できる場所を作るだけではなく、働く場所も創設することになります。シェア金沢では、その中の施設で、障がい者や高齢者が働き、ボランティアをされていました。
しあわせの村の中の施設で働く人、入院する人などの利便性を向上させるためにATMの設置や、保育所整備などを福祉環境委員会で伺いましたところ、その必要性については認識している、というお返事でしたが、その後、検討は進んでいるでしょうか。しあわせの村の新しい展開も視野に入れて、ご見解をお伺いいたします。
健康づくり対策について
市民の健康増進のために、気軽に始められるウォーキングは親しみやすい運動だと思います。先日伺った横浜市では、ウォーキングプログラムに18歳以上の19万人、400事業所の登録があり、平成29年までの4年間で30万人に登録を目指すと伺いました。
神戸市の健康増進事業や健康づくり事業は、これまでにもいくつか実施されてきているようですが、広報の仕方、市民への打ち出しが弱いためか、認知度が大変低く、参加者は限られているのではないでしょうか。神戸市が市民も参加しやすく、参加することに魅力を感じられ、健康づくりに効果のあるプログラムを積極的に推進していくべきではないかと思います。
中央区では区のキャラクターである「かもめん」をフィーチャーしたアプリが人気です。イベント・観光情報だけでなく、ハザードマップ、気象情報・災害予報など、タイムリーにプッシュ通信で新着情報が知らされます。
神戸市の健康プログラムも、専用アプリを作って市民参加型の事業を立ち上げてはどうでしょうか。アプリを作るにあたっては、事業の宣伝もかねて「アプリ・コンペ」をすると若者たちがアプリ開発から関わってくれることになり、市全体での事業の盛り上がりをつくることができるのではないでしょうか。ご見解をお伺いいたします。
献血について
統計では、10代、20代の若者の献血者が減少傾向にあります。急性期医療、がん医療には欠かせない血液の不足が心配です。これは少子化の影響もあると思いますが、献血に関する知識の欠如から、協力する意識が醸成されていないという問題があると考えます。
私の所属するライオンズクラブは、市役所での年3回の献血活動のお手伝いをしていますので、現在も職場離脱許可を得られるように日赤から証明書をだしてもらったり、庁内放送を流したりしていただいていることは認識しています。しかしながら、現実的には、職員が職場を離れて堂々と献血に来ることができないようです。
それでも、久元市長は率先して献血をしてくださいます。副市長時代に最初に来てくださった時に、「献血カード」をお持ちであることを知り、霞が関時代からお忙しい中でもずっと協力を続けていらっしゃったのだと感心したことを覚えています。今でもスケジュールが調整できる限り協力してくださるのには頭が下がります。先週は若い職員たちと一緒にMINT神戸にある献血ルームで献血されたと伺いました。
私は、市役所全職員の献血に関しての意識改革が大切だと考えます。
具体的には、例えば、新人職員や若手職員の研修に献血についての啓発プログラムを盛り込むことに加え、「職員は1年に一度は献血しよう!」という意識を持てるように、保健福祉局から積極的に庁内で働きかけていく必要があると考えます。管理職が若い職員に、定期健康診断に行くよう呼び掛けていただくようになったと同様に、「今日は献血の日だから、仕事のきりのいいところで行ってきていいよ。」と呼びかける職場風土を作ることを目指していただきたい、と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
(再質問1)(要望)
献血事業は日本赤十字社の事業ではありますが、献血で集められた血液は、市民のための医療に大変多く使用されています。神戸市として市民に安全・安心な医療体制を提供し続けるためにも、献血事業は継続して積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。
若い世代への啓発という意味では、高校生、専門学校などに出向いて献血についての研修を実施し、献血車を配車して献血を促すなど、教育委員会とタイアップして進めていただければ、と要望しておきます。