我が国では、急速な少子高齢化や社会構造の変化が進む中で、偏りのある食生活、運動不足、過労などによる生活習慣病の問題や、働く環境の変化などに起因する心の問題などが生じており、私たちの健康を取り巻く環境は厳しさを増しています。その中にあって、特にがんは,1981年以来国民の死亡原因の第1位であり、生涯のうちに約2人に1人はがんにかかると推計され、年間約35万人がこの病によって命を失っている「国民病」といえます。
ご存知のとおり「がん対策基本法」が2007年4月から施行されました。この法律は、官民あげて「がん」に立ち向かっていく理念と意思を明確にした、わが国の健康法分野における画期的な法律で、2006年の第164回通常国会における多くの与野党の国会議員の献身的な努力が結実したものです。特に、民主党の山本孝史参議院議員は自らが「がん」に冒されていることを公表し、この法律の早期成立を促したと評価されています。
神戸市の年間の死亡者数のうち、がんによる死亡者数は約3割で、神戸市では健康増進計画においてがん検診受診率の向上対策及び検診結果に応じた取組の推進を掲げ、がん対策の推進に取り組んできていますが、がん検診の受診率はおおむね2割から4割と低く、がんの脅威、予防の重要性等に対する意識が市民に十分に浸透しているとはいえません。市民にがんの予防、早期発見及び早期治療に関する意識を広め、がんの予防対策と患者及び家族等の活動に対する支援の充実に努め、市民総ぐるみで、がん対策の更なる向上に寄与していくことを目的に、神戸市会では議員提案で「神戸市がん対策推進条例」を制定しました。2014年7月から施行されます。
今後「がん」治療の主流になっていくと考えられる放射線治療の専門医の充足や、緩和医療の充実や公立病院へのホスピス導入の可否など、終末期医療の課題も含めて広い分野で国、地方で施策を推進していく必要があります。
多くの「がん」は早期発見、早期治療によって治る時代がきています。家族にがん患者を抱える私としては、皆さんとともに自らの問題として「がん」と向かい合い続けたいと考えています。