ポートアイランドは、かつて神戸市が画期的・斬新なアイディアをもってまちづくりを行い、活力あるまちとして発展させようという活気あふれるまちであったものの、残念ながら、現状は1期の住宅エリアは住民の高齢化が進み、周辺の店舗やファッションタウンは以前ほどの元気がありません。また1期の住民と2期に勤める研究者等が相互に行き来することも、日ごろほとんどありません。こうした中、大学が開校し若い世代が通ってきてくれるまちになり、新しい発展を期待しています。
以前、「研究開発エリア、医療エリア、教育エリアの3エリアを擁する一大クラスター形成を推進していく」という方向性が打ち出されましたが、私は、これに既存の港湾関連施設やファッションタウンなどの企業エリア、住宅エリアをも加えて一つの「まち」として捉え、ポートアイランド全体を発展させるべきであると考えています。神戸クラスターのさらなるステージアップのためには、世界の先進例からも明らかなように、働く場所の周辺に快適な衣食住環境を整備するとともに、今ある商業施設に加え、映画館、劇場など魅力的な集客施設を整えて優秀な人材を呼び込む「まち」を作ることが必要不可欠になります。例えば、撤退して更地になった施設の跡地に、研究者、医者、患者やその家族のための居住・滞在施設やスポーツ施設を建設し、周辺の住民も利用できるようにするなど、思い切った展開を民間活力の導入も含め、改めて検討してみることも必要だと考えます。官民が協力して、魅力的な「まちづくり」を強力に推進していくべきです。
都心ウォーターフロントは、神戸らしさを先導するリーディングエリアと位置づけられ、ハーバーランドからHAT神戸までの都心ウォーターフロントの6地域が、神戸市都市景観条例による都市景観形成地域となりました。これに兵庫運河を含めて将来的にグランドデザインを描くことが統一性のある魅力あるまちづくりのために重要です。この地域を東西に連続性ある魅力的な拠点としていくには、各地域の特性を活かし、市民や観光客が散策できるような幅の広い遊歩道、自転車専用道路などを全地域に統一性を持って整備していく必要があると考え、公の場で度々訴えてきました。
国道2号線沿いの神戸水上警察署についてはポートアイランドへの移転が完了しましたが、国の第2地方合同庁舎別館については土地も含めて売却予定というものの、具体的な進展はありません。この場所は、都心からの眺望景観重点ポイントの一つであり、都心ウォーターフロントの新しい中心スポットとしての再開発に神戸市としても力を入れていくことが必要です。神戸開港に合わせて居留地が開発された頃には、ここに散策できる公園があったことを含め、考えていきましょう。
都市間競争に打ち勝つために、ウォーターフロントの一体性を高め回遊性を高めていくことが大事であるという認識のもと、行政だけの考えではなく、民間から選ばれた委員の方々の練り上げられた「港都・神戸 グランドデザイン」が策定されました。私も何度も提案してきたLRTの導入の検討なども盛り込まれていましたが、久元市長からは現実的なLRT検討方針が打ち出されました。JR三ノ宮駅と阪急三宮駅大改造と併せて、三宮周辺地域の再整備の大きなビジョンを描くには、他都市にはない、都心と近いウォーターフロントを活用した「デザイン都市・神戸」らしさを打ち出していくことが求められています。神戸の活力再生のため、正念場です!