パリでは町中の道路の真ん中に両方向の自転車道が整備され、その外側に車道、一番外側に歩道という整備がされているそうです。コペンハーゲンでは、車道と歩道の間に、しっかりとした自転車専用レーンが敷かれ、子ども専用カートを取り付けた自転車が疾走していました。週末の買い物やドライブには自動車を使うけれども、平日の通勤、通学には自転車を利用する生活がすっかり市民に定着しているとのこと。これは、国も地方自治体もそのような環境に配慮した生活を率先して進めるように施策として打ち出しているからだと思います。アメリカでは、海岸沿いや国立公園内の道路などに自転車専用道路、あるいは専用レーンが整備されていました。しかし、レジャー・スポーツ用だけではなく、環境に配慮した自転車の日常生活での重要度も増しているようです。
翻って日本はどうかというと、歩道を歩いていると自転車も一緒に走っていることが多く、危険に感じています。道路交通法が改正され、これまで歩道がない道路では左側・右側どちらの路側帯も通行できることになっていたのが、左側路側帯に限定されました。法律が改正されたとはいえ、私自身は、ようやく自転車に1人で乗れるようになった子ども達を連れて自転車で図書館通いをしていた頃に、狭い道路の路側帯を走ると自動車と接触しそうで怖いため、いけないと思いながらも自転車で歩道を走っていたことを思い出しました。「車道の左端路側帯を自転車で走行する」というのは、現状の車道では自転車の危険度が高くなる道路が大変多いと思います。しかし、現在よくある「歩行者と自転車一緒」という歩道のままでは、歩行者が歩くのに怖くて困ります。
神戸市としても、歩道と自転車道を分離した整備に積極的に取り組み、歩行者の安全確保に努めていくべきだと考えます。また既存の道路の歩道についても、自転車のマナーアップによって共存できればいいのですが、自転車と歩行者の分離の工夫ができれば、お互いにより安全で安心な通行が可能になると考えられます。道路の再整備の中で方針を定めて取り組んでいく課題です。
また、自転車・自動二輪の違法駐輪についても厳しく取り締まっていく必要があります。自転車・自動二輪の利用は、都心での利用と住宅地から最寄駅までの利用とは性格が異なるものだと思いますが、駅周辺における違法駐輪が多いという点では共通の課題があると認識しています。JR三宮駅周辺の路上にラインをひいた駐輪場は、大変利用率が高く、初期は割合に綺麗に並べて利用されていましたが、最近は状況が悪くなりました。中央区役所前に設置した駐輪場は、便利なうえ最初の90分は無料とお得であるにもかかわらず、利用率が高いとは思えません。違法駐輪がこれだけ多い現状をみると、駐輪場・自動二輪駐車場が不足していることがわかります。自転車や自動二輪のたくさんの違法駐輪のために、どんなに歩道が歩きにくいか、安全確保がされていないか、美観を損ねているかを考えると、歩道上の通行の安全確保の面からも、デザイン都市・神戸を推進する面からも、さらなる駐輪場整備と併せた違法駐輪対策を講じることが必要です。